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ニュー不動産展がとっても楽しかったですレポ、その2(session2-3愛ある賃貸住宅との出逢い方)

先週末に渋谷ヒカリエで開催された「ニュー不動産展」のレポその2です。その1はこちらです。

shonan-iju.hatenablog.com

すべてのセッションはyoutubeで視聴できますので、もっと詳しく知りたい方はぜひ見てください。無料で全部観れるんですから、すごいです。「不動産をもっと楽しく!」という開催サイドの気合を感じます。

ニュー不動産展session2-3「愛ある賃貸住宅との出逢い方」

登壇者

  • 浅井 佳 氏(株式会社アールストア )
  • 林 厚見 氏(株式会社スピーク共同代表 東京R不動産
  • 村井 隆之 氏(DIYP主宰)
  • 島原 万丈 氏(HOME’S総研 所長)(モデレーター)

概要

賃貸住宅が重視すべき経営資源は「愛」なのではないか、というひとつの結論を共有する登壇者達がそれぞれ運営しているサービスについて、その理念についてや面白かったこと、そしてこれからのことについて語り合った。このセッションの公式ページにあるイントロダクションの文章がとても素敵なので引用する。

賃貸住宅は恋愛に似ている。星の数ほどある賃貸住宅からたった1つを選びとって、そこを自分の暮らしの基盤とし、24時間のうち多くの時間をそこで過ごす。寂しさに一人泣く夜も、真新しい朝も、怠惰な午後も、賃貸住宅はいつもあなたの傍らにいて、あなたを慰めてくれたり、励ましてくれたり、叱咤してくれる。

この奇跡の出会いを演出するのが、不動産仲介という仕事である。賃貸住宅に愛が存在するならば、不動産仲介にも愛を見つけることが出来るはずである。新しい切り口でその出会いを生み出している方々とともに、賃貸住宅の未来のあり方について議論していきたい。

ニュー不動産展『 愛ある賃貸住宅との出逢い方 』 | Peatix

島原氏による「愛ある賃貸住宅が必要な理由」

島原氏が2010年に発表した「愛ある賃貸住宅を求めて」というニューヨーク、ロンドン、パリ、東京の賃貸住宅生活実態調査を行った結果と分析をまとめた資料によると、日本と海外で賃貸住宅の選び方や重視する点に違いがあることがわかった。それを簡単にまとめると、(※ ここでは調査対象のニューヨーク、ロンドン、パリをまとめて「海外」と書きます)

引っ越す理由が違う

日本では進学や転勤などライフステージが変わったことで引っ越しをするが、海外ではそれ以上に、「より良い住宅に住むため」に引っ越す人が多い

その住宅を選んだ理由が違う

海外では家賃、交通の便に続いて「部屋の良さ」「建物の良さ」「好きな地域」を重視しているのに対し、日本ではそれらの重要度は低い。家賃、交通の便を重視してそれらについては妥協している、とも分析できる。

築年数に対するこだわりが違う

日本では「築浅を重視した」という50%近くがなるべく築浅の物件を探したと回答しているが、海外では2〜3割に留まっている上、「なるべく築年数の古い物件を探した」と5%前後が答えている。

そもそも一般の物件検索サイトで「駅徒歩30分以上」「築年数30年以上」という絞り込みができない

これはみんなが駅徒歩や築浅を重視するからこういう仕組みになっているのか、またはその逆なのか判断できないが、実際に物件検索サイトではエリアを指定した次の絞り込みで駅徒歩、築年数を設定するようになっている。つまり、駅徒歩30分以上、築年数30年以上の賃貸物件に価値がない・・・というわけである。

その結果・・・

賃貸住宅の満足度に関する調査で「大変満足している」と答えた割合が海外の半分以下。「愛のない」賃貸住宅になってしまっているのである。

賃貸住宅市場の悪循環

節税対策で賃貸住宅を建設するケースが多いことも一因して以下のような悪循環になっている。

新築 → 予算上質が悪く、過剰供給、消費者の不満足 → 築年数経過による商品力の低下 → 空室増加 → 収益性低下 → 取り壊して作り直し → 最初に戻る

結果として地域や土地性に関与せず同じような賃貸住宅が生まれ、ユーザーは築年数や徒歩分といった数字でしか比較できない。

このままの愛のないマーケットで良いのか?というところから「愛ある賃貸住宅との出逢い方」という今回のセッションのテーマが導かれた。

浅井氏>スタッフが良いと思う物件にNGは出さない

R-STOREという不動産のセレクトショップのような不動産仲介業を運営している。スタッフが探してきた物件はスタッフそれぞれの視点を重視して、その良さがわからないといってNGにすることはしない。逆にスタッフ自身が良いか良くないかわからない・・・という態度はNG。

林氏>おもしろい物件、「探せばあるよ」

全国規模で冒頭のような画一的な価値観ではなく、色々な意味でいいなと思う物件を集めた不動産仲介業を運営している。11年目で、今年中に京都がオープンする予定。おもしろい物件を探すことをはなから諦めていた仲間に「探せばあるよ、探して差し上げましょう」というところから出発した。

村井氏>DIY賃貸がおもしろい

改装可能な賃貸物件だけを集めた不動産紹介サイトを運営している。あまり深く考えずにやりはじめて4年経って、セルフビルド的な、建築家や設計士が綿密に計画したのではないDIYでの空間の作り方に面白さを感じている。ベッドルームの天井を黒板塗装したり、常識的にはありえないようなことも、入居者がやりたくて楽しくてやってて、アリなんだ、っていう面白さ。

買うわけじゃないから冒険できる

変な賃貸を選んではちょっと後悔して、ということを繰り返していたという林氏。どれも良い思い出だという。買うわけじゃないから、ちょっとの踏ん切りで冒険できて、後悔しても引っ越せるし、それが面白い。DIYPのユーザーにも賃貸ならではで、建築学科の学生が自宅兼実験場として借りにくる。壁の色を奇抜にして、それで数ヶ月過ごすとどうなるか?という実験をしたりしているらしい。

林氏>「愛」によって問題が軽減する

R不動産では不思議と’良い人’の入居が多く、トラブルが少ない。愛のあるオーナーさんの賃貸は稼働率も良い。資金や資源ではなくて、「愛」が問題を軽減していると言える。

村井氏>究極、家賃もいらなくなってくる

田舎には余っている家も多い。近所の掃除やおじいちゃんおばあちゃんのちょっとしたお手伝いを家賃代わりに住んで欲しいくらい。お金じゃないもので家を貸すってこともあるかも。

浅井氏>渋谷から蒲生(埼玉)へ若者が転居した

取り扱っていた物件で、渋谷から埼玉へ若者が転居した。カフェスペースや広い芝生のあるちょっと変わった物件だが、都会の若者が何を求めて転居したのか?というところに何かヒントがあるのでは。

林氏が紹介した注目の「愛ある賃貸住宅」

泰山館 −東京都目黒区東が丘 自然共存 賃貸マンション− - オーナーさんの趣味でお庭がお花畑になっている

沢田マンション - オーナーさんがセルフビルドした独創的な賃貸住宅で、ギャラリーがあったり泊まれたり畑があったり豚を飼ってたりする

メゾン青木 - 壁紙を選べる賃貸を始めたら評判を呼び、楽しい人が住みはじめ、住民どうしが見せ合ったりして仲良くなり、、、という自由で楽しい賃貸住宅

三鷹天命反転住宅 – 荒川修作+マドリン・ギンズ - 建築家と芸術家が作った見るからにおかしな住宅だけど、みんな引き寄せられて、イベントや見学会もやっている

これらは今見れば変わった賃貸だけど、この先こういった良い物件しか受け入れられなくなってくるのではないか。10年後どうなっているかわからない。賃貸か分譲かという選び方ではなくなっていく。

感想

ひとつの回答を導くような内容ではなくて、それぞれの登壇者さんがそれぞれの事例などと共に可能性について語られていて、今までの画一的な賃貸住宅から多様なものへと変容してきている、変容させていくんだという希望の広がりを感じました。

また、ストック(所有)からフロー(移り住む)へ、というのが前セッションでもこのセッションでも話題になりました。最近話題のミニマリズム(ものを持ちすぎないシンプルなライフスタイル)も同じ流れなのではないかと思います。何十年後にどうなっているかわからない時代に、早い段階で固定させるのではなくて、もっと気軽に、自由にその時その時で合ったものを選んで住めばいい。しかもそれは、今までみたいに画一的な不満足な部屋ではなくて、能動的に楽しい部屋を探すことができるのです。

「もっと不動産を楽しく!」というこのイベントのテーマに帰結し、そういう時代が来ているということでしょう。

おわりに

わたしはまだ不動産の仕事をしたこともないからわかっていない大変さとか難しさがたくさんあってそんな簡単なことではないのだろうけれど、こんなふうにわくわくしたのは久しぶりのことで、とっても楽しかったです。

実は、このイベントに気付いたのが2日目の正午くらいで、危なく見過ごすところだったのを気づいた瞬間に「これだ!!!」と思ってすぐにチケットを買って、着替えて、ヒカリエに飛び込みました。自分の嗅覚を褒めたいです・・・と言いたいところですが、だったら開催前に気づけよ、と思うので今回は褒められません。でも本当に行ってよかった。楽しかった。それは多分、登壇者のみなさんが楽しそうだったからだと思います。このセッションの中でも、1分に一回は誰かが「面白い」って言ってた気がするくらいです。

わたしも、楽しく生きて、楽しいを生み出す人になりたいと思いました。

ちなみに

セッションの最後の質問タイムで「不動産屋さんになりたいんです」と質問したのはこの紛れもない内田です。あんまり楽しかったので調子に乗って変な質問してしまい、すみませんでした。優しくお答え頂いた島原さん、浅井さん、林さん、村井さん、ありがとうございました。

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話題に上がったシェアハウス、サービスなど